東京高等裁判所 昭和28年(ネ)294号 判決
商法第二百五十二条は民法第九十条を排除するものでないことは勿論であつて、決議の内容が公序良俗に反する場合は右商法第二百五十二条の適用がある一場合であると解すべきであるが、控訴人らのこの点の主張は決議に加わつた特定の株主の株主権取得の原因もしくは決議を構成した議決権の一部の取得原因がそれぞれ民法第九十条に該当するというのであるから、決議の内容について規定した右商法第二百五十二条の問題とはならないのである。このような決議を争うには別におのずから方法があり(商法第二百四十七条)、また違法に株主権をうばわれた者がこれを回復しもしくはその損害の賠償を求めるについても別個の方法があるのであつて、右決議の無効を主張し得ないことによつて、控訴人ら主張のような立場にある者の株主権の保護が全うされないとすることはできない。もつとも株主総会の決議に加わつたすべての者の株主権取得の原因が違法であつて、その株主権取得が実体上無効であるような場合には、これらの者によつて成立した株主総会の決議なるものは、形式的には決議たるの外観をそなえていても、法律上は全く無意味で決議ということを得ないわけであり、その意味で決議自体は不存在であつて、商法第二百四十七条もしくは第二百五十二条にかかわらず、なんびともその決議の不存在を主張し得べく、その意味において決議無効確認を求め得るものということができるであろうけれども、本件控訴人らの主張は株式総数二十万株中控訴人らの三万三千株が違法に移転され、また決議を構成した千八百株の議決権は違法に取得されたものであるというに過ぎないから、もとより右のような場合にあたるものではないこと明らかである。